リュミエルダーとオスレッド




オスカー:やあ、お嬢ちゃん、拍手ありがとうな。炎の守護聖オスカーだ。
リュミ:(通りすがりにオスカーに気づき、足を止める)いえいえ、どういたしまして。
オスカー:お前に言ってねぇっっ!!(ズビシ!!とデコピンをかます。)
リュミ:(デコに指をかけて呆然。)・・・。
オスカー:・・・な、なんだよ。
リュミ:いや、新しいですね。回し蹴りが来ると思って構えていたので・・・油断しました。
ノマキ:(続く・・・のか?)

ノマキ:拍手、ありがとうございました!今後の励みに致します!


オスカー:俺の学習能力を舐めるなよ?
リュミ:それはそれは申し訳ありません。すっかりかっちりくっきりと舐めきってました。
オスカー:て、てめっっ!!!
リュミ:しっ!このパターン・・・何か気づきませんか・・・。私達が痴話喧嘩をして、得をするのは誰です?
オスカー:誰が痴話喧嘩だ、誰がっ!!
リュミ:(肩を竦める)大した学習能力ですね。本当に舌を巻きますよ。
ノマキ:(まだ続く・・・のか?)


お待たせしました??「リュミエルダーとオスレッド」第一話/全八話です。
リュミ:いいですか、私達が喧嘩をして得をするのは、管理人です。つ、ま、り、私達の間に喧嘩が絶えないのは、彼女の陰謀なんですよ。
オスカー:あぁ?
リュミ:つまり、彼女が消えてなくなれば、私達は未来永劫安泰というわけです。
オスカー:だから誰と、誰が安泰だって?
ノマキ:何やら悪寒が・・・。
リュミ:ふふふふふ、フハハハハハハハハハハッッッ!!
ルヴァ:(ずりずりと暗幕を引きずってきて、リュミエールの前に広げる。)
リュミ:(暗幕の向こうでお着替え中・・・。あ、着替えが終わった模様。)私は魔王リュミエルダー!ノマキを筆頭に腐女子共と・・・ついでに、全国の肉食する奴らを退治してくれるわっっ!!
ノマキ:まあ!悪役メイクで目元が素敵!!はぁと・・・じゃなかった。正義の味方、オスレッド!全国の肉食主義者と腐女子を守るために頑張れ!
オスカー:待て待て待てこらっ!!なんで俺が・・・しかも俺のイメージカラーは青なんだがっ!!
ノマキ:腐ってても女なんだから守ってくれてもいいじゃん!ヴィエブラックはリーダーで。マルピンクと、ランディグリーン、ゼフェブルーも味方にしていいからさ。え?配色?そんなもんは勿論適当だっつの。
第二話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第二話/全八話。

魔王は白すぎる顔に映えるブルーのアイメイクを光らせながら、顔の横で自分の銀青色の髪を指に絡ませて弄んでいる。
「さて。世界征服の手始めは・・・やはり教育からだろうな。」
もう片方の手の指先をピンと立てて、唇の上に当て、紫のルージュを塗った口の端で笑みを作った。そして、その指先をぱちん、と弾いて鳴らす。
「ジュリアーサー!!」
「はっ、ジュリアーサーはここに。」
ビロードの玉座にゆったりと座り、組んでいた足を組み替えて、魔王は自分の前に跪き、その拳を床につけているジュリアーサーを見下ろした。
「至急聖地内の幼稚園を占拠し、無農薬野菜の大切さとBLの有害さを説く授業を開始するのだ!!最近はBL好きも二代三代と世襲されていくからな、親共にも油断するなよ!!」
「はっ!!」
ジュリアーサーは立ち上がって、その白い衣装に似合う青のマントを翻し、低い声で闇に向かって声をかけた。
「クラヴィンス・・・行くぞ!!」
「面倒な・・・。」
第三話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第三話/全八話。

「クラヴィンスッッ!!ジュリアーサー・・・様!!子供の純真な心に自分たちに都合の良い教育を施し、たぶらかそうとする、その根性!!この俺が許さん!!(by仮面ライダーブラック)」
赤いたすきを肩からかけたオスレッドは拳を握り締め、黒と白の衣装をまとった悪役たちに対峙しつつ、園児達を背後に庇う。
「ちょっとー、ジュリアスは今悪役なんだから、様づけやめてよねー。」
園児と共に昼寝の準備をしつつ、ヴィエブラックはオスレッドの背中に眠たい声をかけた。
「つーか、このやる気ない衣装が超興ざめ〜。敵さんは何故か悪役メイクも衣装もあるのに。なんでなのさ!」
普段の執務服に斜めがけされた黒色のたすきを指先でつまみ、リーダーを拝命したはずの男は引き続き悪態をつく。
悪役の大将が怖い人だからだよ、と作者の都合がヴィエブラックに透けて見えたかは定かではないが、ヴィエブラックは盛大にため息をついて、園児たちの世話に戻った。
「て、いうか。無農薬農業の大切さとか、ボーイズラブというか、18禁に園児たちが触れないようにする教育ってそもそも有害なんですか?」
布団引きをリーダー命令でさせられているランディグリーンは至極尤もなつっこみを入れる。
「でもよー、敵の狙いは世の中全員ベジタリアンにすることなんだろー?俺スパイシーチリドッグがモスからなくなったら生きていけねぇぜっ!!」
ゼフェブルーは肉食を続けたいようだ。
「いいから、しのごの言って和んでないで、戦えお前らっ!この機会を逃したらクラヴィス様をぶん殴れるチャンスなんて巡ってこないぞ!」
オスレッドは不謹慎極まりない理由で興奮気味である。
「そちらに戦う気がないなら、こちらからいかせてもらうぞ!攻撃だ!クラヴィンスっっ!!」
ばさぁ、とマントをはためかせて、ジュリアーサーは腕を大きく振るってクラヴィンスに命じた!
「面倒な・・・。」
クラヴィンスはやる気なく、手持ちのタロットカードで一番防御力が低そうなマルピンクを攻撃した。
「きゃー!止めてくださいクラヴィス様ぁー。」
マルピンクは、かすった気配もないタロットカードによる攻撃で、負傷したのかなんなのか、泣きながら地面に崩折れた。
「マルピーンク!」
オスレッドがあわてて、マルピンクにかけよる。
「・・・甘いな・・・。」
と、突然マルピンクは怪しげに微笑して、かけよってきたオスレッドの意識をクロロホルムで奪おうとする!
「マ、マルピンク・・・何故・・・。がくっ。」
油断しまくっていたオスレッドは、いとも簡単に意識を手放した!
事態をみるともなくみていたゼフェブルーは悲鳴を上げる。
「マ、マルセルお前まさか!!」
マルピンクはオスレッドの上半身を抱いたまま、ゼフェブルーの驚きに見開かれた目を微笑しながら見返すのであった。
第四話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第四話/全八話。

「マ、マルセルお前まさか!!」
「そう、僕はリュミエルダー様の第一の側近、マルセルンルン・・・。戦闘能力の高いオスレッドさえこちらの手中にあれば、残りは雑魚・・・。というわけで、オスレッドはもらって行くぞ!」
マルセルンルンはクラヴィンスとジュリアーサーを引き連れて一時退却した。

「ちょっと、ランディ!ゼフェルっ!あんた達がぼやぼやしてるから、オスカーが連れて行かれちゃったじゃないのさ!!」
「えー!一番やる気なかったのオリヴィエ様じゃないですか。」
「そうだぜー。だいたい、さっきまでやる気なかったのに、なんで急にやる気だしてんだよ。」
「だってオスカーがリュミちゃんのとこに連れて行かれたってことはだよ?!あーーーんな事やこーーーーんな事をされちゃうかもしれないじゃないか!!」
「別におっさんの貞操くらいおっさんが守るだろー?」
「???貞操?アンナコト?一体なんの話ですか???」
「・・・(何か嫌な想像)ぎゃー!!めちゃくちゃ心配っっ!!ちょっと二人とも!オスカーを取り返しに行くよ!!」
ヴィエブラックは園児の世話も忘れ、二人の襟元を掴んで地面を引きずった。
第五話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第五話/全八話。

「リュミエルダー様。マルセルンルン、ただ今戻りました。」
マルセルンルンは、魔王の前に跪いた。
「おお、マルセルンルン。敵の戦力を奪うことに成功したようだな。流石は、私の第一の部下。」
魔王は満足そうに口の端を上げた。
「ジュリアーサー!オスレッドをこれへ!」
マルセルンルンが声を張ると、ジュリアーサーは、オスレッドを引きずって、マルセルンルンと魔王の間に横たわらせた。ジュリアーサーは、何やら気の毒げに、オスレッドの頬を一度指先で撫でてから、そこから離れる。
「せっかく、奪ってきた戦力だ。洗脳してこちらの戦闘員として使うか。」
顎を指先で撫でながら、リュミエルダーはその緋色の髪の男をじぃっと眺めた。
「リュミエルダー様の御心のままに。」
マルセルンルンは右手で拳をつくって左胸につけた。が、何故かその笑顔には陰鬱な色が滲んでいる・・・。
「それでは、洗脳してやるか。」
魔王は玉座を降りて、オスレッドの側にしゃがみこみ、その額に手を翳した。ぼぅ、とその青い爪の先が光り、その目に眩しい程の光が収まる頃には、オスレッドの額に銀のサークレットが嵌められていた。
パチン、と、その瞼の上で魔王が指を弾くと、オスレッドの瞼がゆっくりと開いた。が、その瞳はどこか虚ろだ。
「リュミ・・・エルダー・・・様。」
その唇がなんとか言葉を紡ぐ。
「起きろ。オスレッド。忠実なる私の僕よ・・・。」
オスレッドは上半身をゆっくりと起こして、眉間に指先をやり、ゆるく頭を振るった。
「俺は・・・。」
オスレッドは自分の額に何かが嵌められていることに気づいて、それに触った。と、小さくその指先に電撃が走る。
「それを外すことはできぬ・・・。オスレッド、私の前に跪け。」
耳元に息を吹き込むようにして、魔王はオスレッドに低く命じた。
「は・・・い。」
オスレッドは虚ろな瞳のままに、一度立ち上がってから、魔王に跪いた。
「フフフ・・・。ハハハハハハハハッッ!!これは実に愉快だ!・・・というわけで、暫くオスレッドは私用で使うので、お前達はヴィエブラック討伐でもやっておけ。言うまでもないが、寝室には暫くだれも入ってはならんぞ!!」
魔王は高らかに笑って、オスレッドの顎をつまみ上げた。
「オスレッド、ついてこい。」
「はい。リュミエルダー様。」
まるで普段とは別人のように無表情にオスレッドは言い、その瞳はその色に違わず、氷のように冷たい光を放っていた。
第六話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第六話/全八話。

リュミエルダーが不謹慎な遊びに耽っている間に、ヴィエブラック達一向は、ついに秘密基地の場所をつきとめ、そこに肉薄していた。
「俺はランディ野郎と違って肉体派じゃねぇんだっつーの。ロッククライミングなんて絶対ごめんだぜ!!」
「でも、ここを上る以外に道がないだろ?上る以外にどうするんだよ?」
ランディグリーンが呆れた顔で言うと、
「ふん、だから単細胞だっつーんだ。」
こっちが呆れるぜ、とばかりにゼフェブルーは返し、
「こいつを使う。」
と、カプセルコーポレーション(byドラゴンボール)からパクッてきたカプセルをひとつ、地面に叩きつけた。モクモクと煙幕が立ちのぼり、そこにエアバイク改良型が三台現れた。
「こいつなら、垂直方向にも上れるぜ!」
ふふん、と鼻を指先で得意げにこすって、ヴィエブラックに向かって笑って見せた。
「ゼフェルゥ、アンタはよくやった!ってな訳で、レッツゴー!待ってなさいよ、リュミちゃん!!オスカー!!」
三人はエアバイクのエンジンを蒸した。

「お楽しみのところ申し訳ありませんが。」
マルセルンルンは、リュミエルダーの寝室の扉を大きく開いた。
「なんのようだ?今、私は忙しいのだが・・・。」
オスレッドの身体を抱き抱えたままに、リュミエルダーは目も合わせずに言った。
「ヴィエブラックが我らが城に迫っています。後は城壁を破るだけで・・・」
とマルセルンルンが言い掛かったところで、

ガッシャーーーーーン!!!

と、けたたましい音がして、リュミエルダーの寝室の窓が大きく割れた。

「正面玄関じゃなく、こちらから来たか・・・。」
焦った様子もなく、マルセルンルンはバイオレットの瞳を面倒臭そうに少し眇めた。
「オスカー!!無事!?!?!」
ヴィエブラックは叫びつつ、乗っていたエアバイクを脇に捨てた。
と、全裸のリュミエルダーとオスレッドを視界に収め、一度生唾を飲み込む。
同時に乗り込んだゼフェブルーはと言えば、あちゃーとばかりに、目をそらし、ランディグリーンは理解不能な光景に絶句している。
「リュミちゃん!オスカーを返してもらうよ!!」
ヴィエブラックは、壁にかけてあった剣を片足の先で弾いて、その手に収め、リュミエルダーに向かって構えた。
「ふふ。ヴィエブラック・・・。分かっていないようだな。オスレッド!相手をしてやれ。」
リュミエルダーはその美しい深い色の瞳を細めつつ、腕全体を振ってオスレッドに合図した。オスレッドは気怠げに上半身を起こし、シーツを腰に簡単に巻くと、枕元においた長剣を取って、ベッドから降りてヴィエブラックに構えた。
第七話に続く。


「リュミエルダーとオスレッド」第七話/全八話。

「オスカー?」
愕然とした表情でヴィエブラックは友の名を呼んだが、その虚ろな瞳はその声には反応せず、
「始末しろ!」
というリュミエルダーの声に反応して、戸惑うヴィエブラックに容赦なく切りつける。右、左、右、と機械的に繰り出される剣を、寝室という狭い空間の中、ヴィエブラックは柔らかい身体のバネを使いながら、なんとか避けていた。
「オスカー!ちょっと!正気に戻って!!」
「そうですよ!どうしちゃったんですか!オスカー様!」
すっかりオスレッドという設定は忘れ去られているが、仲間たちは必死にその男に呼びかけながら攻撃を避け続ける。が、返事はなく、振るわれる長剣には一瞬の躊躇もなかった。
「うぉ、あっぶね!!」
巻き添えを食いそうになったゼフェブルーも悲鳴を上げる。
「フフフ、ハハハハ!!オスレッドは、最早身も心も私のものだ!!ヴィエブラック!!」
なんだか他の目的があったはずのリュミエルダーはすっかりこの現状に満足したらしい。紫色の唇は満足しきってニッコニコである。
と、それまで部屋の外で待機していた、ジュリアーサーが、拳を握り締め、真剣な顔で寝室に入ってきた。
「オリヴィエ・・・。額のサークレットだ。サークレットを狙え。」
絞り出すような声で、苦渋の表情でジュリアーサーは言った。
「ジュリアーサー、貴様っっ!!裏切るのか!!」
満足気な表情から一転、鬼のような形相でリュミエルダーはジュリアーサーを振り返る。
「・・・。」
ジュリアーサーは拳を握り締めて、じっと床を睨んだ。
「なんだかよく分かんないけど、サンキュー!ジュリアス!!」
ヴィエブラックは、相変わらず容赦なく振るわれているオスレッドの長剣を避けながら、反撃に転じ始めた。避けた時の反動を使って、効率よく剣を振るう。一度、二度・・・。
「オリヴィエ様!手伝います!!」
ランディグリーンがそれに加勢する。オスレッドの剣が勢い余って壁に突き刺さったタイミングを狙い、ヴィエブラックはオスレッドのサークレットを真っすぐ正面からついた。

パンっ!

乾いた音がして、サークレットが砕け散り、オスレッドは身体を走った電撃に、身体をのけ反らせ、
「ぅあぁぁぁぁぁぁっっ!!」
悲鳴を上げて床に倒れた。

10
「リュミエルダーとオスレッド」最終話/全八話。

「オスカー!!!しっかりして!!」
ヴィエブラックがそこに駆け寄る。
「お、オリヴィエ・・・俺はどうして・・・。ってなんでまた俺は裸なんだ!!このパターン多すぎだろ!!」
オスカーは腰元に辛うじてひっかかっていたシーツを自分の身体に巻き付けた。
「リュミエール!お前もいい加減、羞恥心を身につけろ!!なんでまた素っ裸で仁王立ちしてるんだ!!」
リュミエルダーは、む、と唇を尖らせる。
「もう元に戻ってしまったんですか。せっかく従順なオスカーで遊べたのに・・・。」
「オスカー、すまない。もっと早く止めるべきだったんだが・・・。配役とはいえ、一応私はリュミエールの部下という設定だったものでな・・・止めるのが遅くなってしまった。」
ジュリアーサーは、オスレッドとヴィエブラックの側にしゃがみこんで、済まなそうに頭をたれた。
「そんな!ジュリアス様!止めてください!そんな何事にも真剣なジュリアス様が俺は好きです!!」

その美しき主従関係のヒトコマを遮るように、
「目障りな!!」
リュミエルダーが素っ裸のままに、ヴィエブラックが投げ捨てた剣を拾おうとしたところで、
「頭付き焼き魚攻撃!!」
マルセルが、頭付きの焼き魚を魔王に向かって投げ付けた。
「ひっ!!」
リュミエルダーがひるんだところで、
「ゼフェル!いまだ!!」
マルセルが再び声を上げる。
ゼフェルの
「はいよ。」
というやる気ない返事と共に、ゼフェル、マルセル以外のメンツは、天井から降ってきた巨大な黒い網に捕らわれてしまった。

「な、なんだこりゃ?」

その中心でオスカーがもがくと、
「すみませんが、僕は本気で全人類ベジタリアン化計画を実行したいんです。邪魔者はそのへんでおとなしくしていてください。暴れるとからまりますよ♪オスカー様w」
マルセルの、この上なく、にこやかな宣言が勝ち誇ったように部屋に響いた。
「ゼフェルっ!アンタ、チリドッグ食べれなくなってもいいの?」
オリヴィエがゼフェルのあまりに突然の裏切りに声を荒げる。
「すまねぇな。俺だけは肉食OKにしてくれるって言われて、買収されちまったwいっつも偉そうにしてる連中をこうやって上から眺められるのも、なかなかない機会だしなーぁ?」
ひっひっひ、とゼフェルは悪戯に成功した悪ガキの顔を覗かせた。

「さて・・・。そんじゃあまず、手初めに皆さんの洗脳から始めますか♪」
マルセルは実に楽しげに笑い、指を天に向け、マッドサイエンティスト宜しく、わきわきと二度、三度、それを握った。

----

「おや、マルセルは寝てしまいましたか。」
ルヴァは、その実に愛らしい、安らかな寝顔に苦笑する。
「ルヴァ様・・・。俺ももう限界です。すみません・・・。それで、結局その惑星の、全人類をベジタリアンにしようと企んだ人達はどうなったんですか。」
ランディは結論だけ聞いてしまおうと、その長い話の途中でギブアップした。
「いえね。一旦成功したかに見えたのですが・・・やはり厳しいルールを課して、肉食を禁止してもゲリラ的に肉を食べる人達は結局後を立たず、欲求不満が積もり積もって、治安は悪化し、最終的にはクーデターが起こってしまったんです。つまり・・・」
ルヴァの説明が再び長くなろうとしたところで、
「つまり、人間の欲求を抑えこもうとすると、どこかで反動が起こっちゃうってことですか?」
ランディは話をまとめようとする。
「まあ、大ざっぱにまとめてしまえばそうですかねぇ。ま、とにかく、不謹慎なように見えても、あんまり理想化した世の中は、それはそれで窮屈ということですよ。」
ルヴァはふふふ、と笑って、
「それにしても、このマルセルの幸せそうな顔。一体どんな夢を見てるんでしょうね?」
興味深げに、その長い睫が作る陰を見つめた。
「どうせ禄な夢じゃないですよ。」
ランディが肩を竦めると、
「おや、珍しい。喧嘩でもしましたか?」
ルヴァは目を丸くする。
「話せば長くなるんですが・・・・。」

今日も聖地は平和である。そして聖地に向けられる腐った妄想は後を絶たない。
戦え腐女子。負けるな腐女子!この世に妄想のネタがある限り!
妄想の世界は果てなく自由だ!
(多分、そこそこに・・・。)

----
すんません・・・戦うオスカーとオリヴィエが書きたかっただけですorz



終。
textデータ一覧へ