4章:近接の領域



不快感に目が覚めた。
そっと身じろぎしようとして、腕にチリ、と刺すような痛みが走る。

視界に入ったのは、赤茶けた煉瓦造りの床。
煉瓦の透き間を埋めるように縦横に走った漆喰のライン。
その上を汚す、茶けた小さな、ポツポツとした染み。
「ふむ、気づいたか。」
どこかで聞いたような声に、顔を上げようとして、ガチャ、と重たい金属音に、肩が震える。
いや、それだけではない。
寒い。底冷えするような寒気を感じる。
なにせ、服を着ていない。
いや、服を着ていないというより・・・この青白い身体、見覚えのない薄い腹筋。いや、ほとんど肉がついてないと言ってもいいだろう。つまり、これは、俺の身体では・・・ない?

唐突に気づいた。
この場所・・・。
リュミエールの精神世界で、リュミエールの養父に、リシュリューに捕らえられた時に、使われた、あの部屋だ。
・・・ということは。
気を失っている間、同じ姿勢をずっと取っていたのか、痺れている首の筋肉を無理やりに使って、なんとか首を持ち上げると、やはりそこに、厚めのガウンを、裸体の上から纏ったリシュリューが居た。
両腕が伸び切った状態で、例のバングルの上から一括りでまとめられ、壁から吊られた鎖に繋がれている。足は辛うじてかかとを付けられるギリギリの距離だ。
「この程度で、気を失われていては、少しも教育が進まんのだ。リュミエール。」
心底困っている、とでも言いたげに、リシュリューは首を振った。

つまり、これは・・・。過去のリュミエールの身体、・・・か?

理解が及ぶなり、いつだったか味わったような、身体から精神が弾き飛ばされるような感覚に襲われる。四肢からひっきりなしに届けられて居た痛みと倦怠感はほんの少し鈍くなり、そして、視界が、すい、と斜め後ろにずれて、リュミエールの後頭部が視界に入る。
「その目は、なんだ・・・?リュミエール。」
リシュリューの低く呟くようなソレは、一瞬の沈黙を挟み、
「その目は、なんだと、聞いているッッ!!」
激高するような声に取って代わる。
顎先を、きつく掴まれ、その動きで鎖がガチャッッと固い音を立てる。
「まあいい。今日は・・・今日こそは、お前から、私を求めるだろう。その反抗的な瞳も、今日で見納めかと思えば、感慨も深いというものだ・・・。」
片方の口角だけを異様に吊り上げて、リュミエールの眼前で囁く。
つい、と前に進んで、ゾク、と戦慄を覚える。リュミエールは、冷え冷えとした、敵意と軽蔑、そしてそれらを上回った諦観が籠ったような視線を、まっすぐにリシュリューの瞳に注いでいた。聖地に来た時の印象より、さらに若くに見える、幼さも残っているはずの顔は、冷徹な表情のせいか、それとも、中世的で整いすぎた顔立ちのせいか、既に人間のソレとは思えないような印象を与える。
ふと、身体には、ところどころに痛ましい鬱血痕や打撲痕があるが、顔にはそれがないことに気づく。よく見れば、首や鎖骨などの、服に隠れない部分にも、それがないことが分かる。
暫し視線の応酬を繰り広げてから、リシュリューは、瞳を少し伏せ、ク、クク、と喉の奥で小さく笑った。
「ふむ・・・。強情な人間は嫌いではないぞ、リュミエール。だがそれは、最終的には私にひれ伏し、従属するという前提の下で・・・の話だ。お前は少し粘り過ぎたな。・・・連れて来い・・・。」
投げ捨てるようにスナップを効かせてリュミエールの顎先を解放すると、リシュリューはその右手を高く上げ、パチン、と指を鳴らす。すると、リシュリューの背後の扉から、黒い布で目隠しと猿轡をされた・・・おそらく、10にも満たぬ小さな子供を連れ、大柄な、白い服の男が一人入って来た。
「んんーーーー!!!んーーーーーーーーッッ!!」
無理やりに襟首を掴まれ、ほとんど引きずられるようにして入って来たその少年は、ほとんど本能的に、危険を察知しているのだろう。既に暴れて疲労しているのか、四肢に力が入っていない様子で、けれども、必死に頭を振り、四肢を踏ん張って抵抗していた。顔や剥き出しの膝下に、打撲痕がある。
それを視界に認めるなり、ビク、とリュミエールの肩が大きく震えた。
「な・・・にを・・・。」
嗄れた声で、リュミエールが問う。
「ほう?お前が私に問うとは、随分久しぶりではないか?」
リシュリューは、戻った男も、その幼い少年も一瞥もすることなく、再びリュミエールの顎を強く掴み、喉の奥で笑いながら、瞳を覗き込む。
「何を・・・する、つもり、です・・・。」
絞り出すような細い声は、およそ、先程の眼光の主のものとは思えない。俺は、まるでリュミエールのそれと、シンクロしているかのような胸の痛みを感じて、ぎゅ、と自分の身を抱いた。
「さて、何をするつもりだろうな?」
耳に濡れた息を吹き込みながら、リシュリューが嗤う。カッと見開いた目で、まるでリシュリューなど存在しないかのように、愕然とした表情で、リュミエールは暫し、その幼子を見ていた。
「やれ。」
リシュリューの淡白な声音に、リシュリューの背後の男が、おおぶりのナイフを取り出し、少年の服を引き裂く。
「やめて!!・・・ください。」
声を失ったようにただ愕然とした表情で震える少年から視線を外さず、絞り出すように、リュミエールは言った。
「ほう?願い事か。聞いてやってもいいぞ、リュミエール。」
長い沈黙を挟みながら、まるで声を出すことそのものが、苦痛なのではないかと思うほどに、か細い声で。だが、確かに、それは問いだった。
「やめて、ください。僕では、駄目ですか?」
知らず、己の身を抱く手に、ギリギリと力が籠もる。

・・・なんで、だ。

浮かんだ問いは、リュミエールの態度に対してか、それともこの状況に対してか。怒りか、絶望か、分からない。ただ、確かな質量を持った何かが重くのしかかってくるようだった。これも、例の精神世界での再現のように、いつだったかのリュミエールの実体験なのだろうか。もしそうなら、何故俺はこんなモノを追体験しているのだろう。

空転し始めた俺の思考回路を、リシュリューの哄笑が断ち切る。
「ふっ、・・・ハハハハハハッッ・・・アーーーハッハッハッハッハッッ!!・・・ふ、ククク・・・やはりお前は賢い子だな、リュミエール。流石、『わが子』だ。」
背を反らせたり、腹を抱えたりとせわしなく、まるで聖職者に似つかわしくない野卑た嗤い方。だが、これ以上ないくらいに、リシュリューにはしっくりきていた。
「そうだな。では、お前に自由を返してやろう。」
その言葉が何を意味するのか知らないが、文字通りのものでないことだけは、想像に容易い。
案の定、リシュリューは、思わせ振りにやけにゆっくりとした所作で、リュミエールの拘束を解いた後、
「さあ、自由にしてやったぞ。お前はまず何をしたい?」
と、問いかけた。
瞬間。
耐え難い怒りの感情に、脳がキン、と凍てつくような感覚を覚える。これは、俺の・・?それとも、リュミエールの・・・?
「貴方の・・・。望む、ままの、・・・ことを。」
下を向いたまま、絞り出される声。
表情が抜け落ちたようなリュミエールはリシュリューの背後で男に拘束されて居る少年に、ふらりと視線をやると、絶望を宿した瞳で、けれど、微かに笑んだ。
少年はリュミエールの瞳を見つめているが、怯えきっているのか、微かに震えるばかり。
リュミエールは、リシュリューにギシギシと音が聞こえそうなくらいにぎこちない動きで、痩せぎすの体を引きずるようにして膝立ちで歩み寄り、リシュリューの服の裾をとって、地に這うようにして、キスをした。
再びリシュリューを見上げた瞳は、怒りと屈辱に燃えたぎっているような激しい色を一瞬だけ見せたが。
「そんな目を、まだするつもりなのか?」
という、リシュリューの淡々とした問いかけを受けるなり、まるで、何かの魔法にかかるようにして、瞳の光と表情が失われる。

なんで、だ・・・。

知らず、抱き締めなければとでも言うように、身を寄せる。が、実体の無い俺には、どうすることもできない。まるで、それはそのまま。近くにいても、リュミエールの心と身体に、俺が触れることは二度と叶わないのではないかという、喪失感そのものだった。

なんで、お前は・・・こうなんだ・・・
リュミ、エール・・・

『僕は・・・ない。・・・つ。』

不意に、感情の読み取れない、淡泊な、複数の声音が脳内に響く。
・・・一体、誰の。
リュミエールの・・・?

『僕は・・・らない。こん・・・つ。』

胸が圧迫されて、吐く寸前の気分で。
『リュミ、エール様・・・』
どこか、聞き覚えのある声に呼ばれるようにして、唐突に目が覚めた。
気がつけば、こっちにきてから、毎日拝んでいる天井を眺めていた。
一体、なんだったんだ・・・。
身体を起こして、緩く頭を振る。まだ、あの男に拘束されていた時の感触が残っている気がして、手首を確認するが、なんの痕も残っていない。

なんで、お前はそうなんだ・・・。リュミエール・・・。

夢の中の事だ。現実にリュミエールがあんな状況に陥ったかなんて分からない。そう、自分に言い聞かせながら、俺はほとんどこれがただの夢じゃないことを確信していた。

今日は朝からソルのところで剣の稽古だったなと脳内の予定表を確認して、俺は吐き気を堪えて、身支度を整え始める。

なんとかして、リュミエールに直接会って確かめる。
何を確かめるかも曖昧なままに、けれども、はっきりと、決心した。
そう、一刻も早く。

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いつから、こうしているのか、分からない。段々と、現実感が、なくなっていく。
父さんや兄さんたちが、死んで・・・それでどうなったのだったか。僕は何故、こんなところに、居るのだったか。

「その目は、なんだ・・・?リュミエール。」

痺れてしまった、手首。いや、ずっと頭上で固定されているのだから、痺れているのは、腕全体か。・・・どうでもいい。
「その目は、なんだと、聞いているッッ!!」
顎先を、きつく掴まれる。
ガシャ、と。聞き慣れた、重たい鎖の音。
−母さん・・・。
何故、こんな時に母さんを思うのか、それも分からない。ただ、リシュリューの瞳の、血走って濁ったそれは、僕の何かに反応していることは確かで。けれど、それを僕はどうすることもできない。そのことは、これまでのことで、分かっている。
「まあいい。今日は・・・今日こそは、お前から、私を求めるだろう。その反抗的な瞳も、今日で見納めかと思えば、感慨も深いというものだ・・・。」
吐息を感じる距離で、男は僕の瞳を睨みつける。既に、この男は僕の全てを奪い、自由にしているというのに。一体、何が不満なのだろう。
「連れて来い・・・。」
後ろに控えていた男が、リシュリューの声に反応して一度下がる。僕はそれを何げなく目で追って、その男が戻った時、戦慄した。
「んんっ!!!んーーーーーーッッ!!」
男は、この拷問部屋に、およそ場違いな、年端もいかぬ子供を連れて、入室してきた。口をガムテープできっちりと塞がれ、頭を力いっぱい振って、足を踏ん張って。けれども、大人の男の、それもリシュリューがこういった用途で使う男の腕力にかなうはずもなく、抵抗も空しく引きずられている。
「な・・・にを・・・。」
久々に口を聞いて、自分の喉が嗄れていることに気づく。
「ほう?お前が私に問うとは、随分久しぶりではないか?」
リシュリューは、戻った男も、その幼い少年も一瞥もすることなく、僕の顎を掴み、視線を外さない。
「何を・・・する、つもり、です・・・。」
唾を飲み込みながら、なんとか、それでも問う。
「さて、何をするつもりだろうな?」
愉快げに、リシュリューは口元を歪めた。いつになく、僕は動揺していた。まさか、僕と同じようなことを・・・あの子に・・・。
僕の胸中を知ってか知らずか、リシュリューは、こちらを凝視したままに、表情を消した。僕はぞっっと、自分の体温が冷え込むのを感じる。
「やれ。」
リシュリューの低い声音が聞こえるやいなや、リシュリューの背後の男は、おおぶりのナイフを取り出し、少年の服を引き裂いた。
「やめて!!・・・ください。」
声が出なくなってしまっている少年から視線を外さずに、絞り出すように、言う。
「ほう?願い事か。聞いてやってもいいぞ、リュミエール。」
リシュリューが口ひげを触りながら、再び口元を歪めるのを視界の端で捉えた時。
不意に世界が色を失ったような感覚に襲われた。
すぅ、とそれまで混乱を来し、様々な感情がせわしなく飛び交っていた脳内が、奇妙な静けさを取り戻した。

そうだ。
なんだって、できるじゃないか。
僕は。もう、とっくに。人間なんかじゃ・・・ないのだから。

「やめて、ください。僕では、駄目ですか?」
思いの外、落ち着いた自分の声音を、他人事のように聞く。
「やはりお前は賢い子だな、リュミエール。流石、『わが子』だ。」
強調された単語に気づいて、それまで頑なに拒んでいたソレが、するりと自分の唇から漏れる。
「『父、さん』。その子ではなく、僕を抱いてください。」
チカチカと、僕をこれまでずっと不満げな色で睨みつけていたリシュリューの瞳が、少し、その色を和らげる。ふ、とまるで安堵した時のそれのような吐息が、リシュリューの口から漏れた。

そうか、この男が求めていたものは、こんなに簡単なものだったのだ。
何故、僕はもっと早く気づいて、こうしなかったのだろう。
この男の望むがままに行動することで、これ以上誰も傷つかずに済む。

「良い目だ、リュミエール。」

母さん・・・。

『僕は・・・ない。・・・つ。』

胸で聞こえるのは一体誰の声だろう。それは小さな少年の声で。

『僕は・・・・要らない。』

誰の。

『僕は、要らない。こんな・・・こんな、現実。』

ああ、きっとこれは、僕の声。
近づいてくるリシュリューの満足気な顔を、視界から追い出すように瞼を閉じ、僕は多分、微かに笑った。

・・・。

慣れ切った倦怠感の中、目が覚める。気を失っていた?・・・どれくらい?
どうだっていいか、と薄く自嘲する。
昔の夢。
だが、現実だって大した違いはない。現実・・・?・・・果たして、現実なのだろうか、これは。
だがもう、夢だろうが、現実だろうが、大した違いはないのだから、考える必要などない。
「気が付きましたか?」
宰相の声に、身体は動かさずに視線だけをそちらにやる。
「ずっと貴方とこうしていたいところですが、会議に行かなければなりません。貴方も同席する会議でしたね。身支度を整えてください。」
跡の付きにくい、絹の布でできた拘束を解かれ、私は怠い身体を引きずり上げるようにして起き上がる。派手に跡がついていないことを確認しながら、ベッドから降りて、剥ぎ取られて床に散乱している衣服を身体を引きずるようにして着込み、椅子に立て掛けられていた剣を取り、身につける。
ふと、剣があろうが逆らえない私を、ベッドで拘束する意味はなんだろう、等とせんない疑問が胸を過る。・・・つまり、趣味か・・・と思いついて、無駄な自問自答を後悔する。考えてはいけない。考えれば考えるほど、ただ、自分がどうでもいいものだという、どうにもできない信念が強まるばかり。
「裸の貴方も格別ですが、制服姿の貴方もやはり素晴らしい。」
・・・・。趣味の悪いことだ。私は曖昧に笑んでみせ、
「私は先に出ます。立場のある方は、最後に姿を見せるものでしょう。」
と言って、さりげなく視線を逸らす。
その撫でつけられたヘアスタイルも、聖職者にしては豪奢にすぎる衣装も、すべてがあの男を思い出させ、吐き気を覚える。
「それもそうですね。いいでしょう。私はギリギリに出ます。」
違和感にぎくしゃくと音を立てそうな身体を必死に平静を装って動かし、礼を取って男の部屋を出る。自分にまとわりつくような、思ったるい空気を、身の外に吐き出すようなつもりで、ぎゅ、と身を抱いて、息を吐き出す。
・・・無駄だ。分かっている。
淀んでいるのはあの男ではない。私自身なのだから。
再び自嘲に顔を歪めて、早足に、会議室へと向かう。

オスカーに、会った。
城下の街で。確かに。
・・・二月ほど前に会議で会った時には、他人のそら似にしては、よく出来ているという印象しか持たなかった。
だが、城下で出会ったオスカーは、おそらく、私の知るオスカーだろう。
神鳥の加護を感じられない、この地では、彼のサクリアを感じ取る事はできない。だが・・・。確かに、視線を合わせた時の、あの感じは・・・あの男でしかあり得ないように思う。
よく似たオスカーが二人居るのか、それとも、炎の守護聖が、他人のそら似の彼と入れ替わったのか。

いずれにせよ、今、あの男と会うのは、気が重い。
一方で、会いたくて仕方が無いような気もする。
ソルの状況を確認するにも、オスカー自身の状況を確認するにも、何かしらの方法で連絡を取る必要があるということは分かっている。分かっているが・・・。

天井の高い会議室に入り、自分の席に移動しようとして・・・いつもは時間ギリギリに来るはずの王子が既に着席している事に驚き、動きを止める。そうだ、王子は、ソルの他人のそら似だった。だとすると・・・。無礼にならぬ範囲で気配を伺うが、同じ水のサクリアの継承者であるはずなのに、私にはそれが私の知るソルであるかどうかは分からない。諦めて自席に着席しようとして・・・漆黒の衣装、緋色のマント、燃えるような赤い髪の長身の男が、会議室に迷い無く入ってくるのを視界の端に収めて、ギクリ、とまた固まる。男の視線はまっすぐとこちらに向けられている。私は、曖昧に微笑もうとして・・・失敗して、視線を逸らし、ギクシャクと腰を下ろした。
王子はともかく、黒騎士団の団長まで出張ってくる会議とは思えない。経済政策の下会議で、決議を求めるものでもない。確かに、経済分野は宰相派が自由にしている領域ではあり、王子派にとっては面白くない状況ではあるだろうが・・・。そもそも、この会議の議長である宰相が、王子はともかく、オスカーの出席を許すとは思えないが・・・。

開会宣言の前から、今日の会議は荒れそうだな、と私は思い至って。
けれども、もう、神鳥の宇宙すらどうでも良いような気分になっているのに、この小国の政治等、興味が持てるはずもない。
そんな余裕があるわけが・・・。
ふと、強い視線をまた感じて、ほとんど無意識に顔を上げる。
氷色の、けれども、誰の瞳より熱さを感じさせる瞳が、私を見据えていた。
今度は視線を逸らす事すら許されないような気がして、漫然と瞳を受け止めていると、まるで、これから、この会議で自分が断罪されるような気分になってくる。

オスカー。
オスカー。もういいんです。

私は・・・要らない。要らないから。


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