第一部 第一章より



俺の姿が認められる位置まで歩みを進めると、手すりに上半身をもたせかけ、こちらを睨んでくる。
「リュミエール!誰か世話人はいないのか?マントを脱ぎたい!」
聞こえるように大きな声で声をかけると、
「そんなに大きな声を出さずとも聞こえています・・・」と、ため息混じりに奴が言う。
なるほど。ホールに反響効果があるのか、確かに奴の通らない声でも十分聞き取ることができる。

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